Last Christmas
Original Song:「Last Christmas」by ワム!
Writer:李仁古
俺は友人に呼ばれてクリスマスパーティーの会場にいた。会場には知った顔や知らない顔ばかり。みなそれぞれ楽しんでいるようだ。
なのに俺はあまり楽しい気分ではなかった。
場のすみで俺は1人で煙草を吹かしながら席に座っていた。同じテーブルの人たちは酔い潰れているか、楽しそうに談話しているかどちらかだ。横にいる俺の友人も酔い潰れて寝ている。
ビールが入ったグラスを持ち、一口飲む。苦い。とても美味しく飲める物ではないが、酔わずにはいられない。俺は再び煙草を吸いながら彼女を探した。彼女は俺よりずっと顔立ちがいい男と楽しそうに話していた。
彼女の笑顔を見ると、ふいに昔の事を思い出す。
手を繋いで映画を見に行ったり、一緒に料理を作ったり、少し高価なレストランを予約して行ったり。
彼女との楽しい記憶が蘇る。まるでビデオカメラで撮ったホームビデオを見るような気分だ。
でも去年のクリスマス。そんな楽しい記憶は崩れた。彼女に俺は心を捧げた。でも彼女はそれをふった。
あれから一年が経つ。彼女は俺の事を覚えているだろうか? 俺は覚えている。俺の気持ちは変わっていない。いや、きっと恋をする事を恐れていたと思う。ずっと彼女の事が好きだ。プレゼントに「好きだよ」と書いた手紙を添えて送った。
俺は本気だった。心の底から彼女の事を愛してた。
それでも、今年は特別な人にあげる事にした。自分の気持ちを。
でも俺は思う。彼女がキスをしてくれたら。きっと俺は彼女とよりを戻す。いや、必ず戻るだろう。だから俺は彼女から隠れるようにしてる。もう彼女に惑わされないように。
もう昔の俺とは違う。泣いてばかりいた俺とは違う。そう、昔の自分とは違うのだ。
俺は短くなった煙草を灰皿に擦りつけ、心に決めた。彼女のいつまでも綺麗な顔を見ながら。
来年は彼女ではない誰か。誰かに贈るよ。
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